不動産の名義変更(相続登記)
1.相続登記
相続登記とは、不動産の登記名義人がお亡くなりになった場合に、その不動産を相続人等の名義に変更する登記をいいます。通常は、相続人の全員の話し合い、すなわち遺産分割協議により、特定の不動産を取得する人を決めますが、遺言がある場合には遺言に基づいて登記をすることになります。なお、遺言による場合は、相続人以外の者への名義変更も可能になります。
2.名義変更の期限
相続税の申告期限は10ヶ月ですが、相続登記については名義変更の期限というものはありません。それは、相続登記は義務ではなく権利として行うものだからです。しかし、期限がないからといって、いつまでも遺産分割協議もせず、相続登記を放置していてよいという訳ではありません。
3.相続登記をしないデメリット
相続登記は義務でないため、やらなくても良いと考える人もいますが、これは明らかに誤った考えです。相続が発生した場合には、速やかに遺産分割協議を行い相続登記をするべきです。
遺産分割協議と相続登記をしないと次のようなデメリットが生じます。
- 遺産分割協議をしないと相続人による共有状態が継続することになり、さらにその相続人について次の相続が発生する等、相続人が増えつづけ権利関係がより複雑になり、遺産分割協議が一層困難になります。
- 住民票、戸籍等は保存期間があるため、相続登記に必要な書類の収集が困難になります。
- 相続登記を経ないと不動産を売却することができないため、タイミング良く買い手が現れたとしても売却のチャンスを逃す可能性があります。
- 賃貸マンション等の収益物件の場合、共有状態のままだと税務申告が煩雑・複雑になります。
- 上記に掲げる理由により相続登記をする際の費用が割高になったり又は収入が減る可能性があります。
4.報酬・費用
(1)原則
相続登記は、次の表に基づいて報酬と実費(登録免許税等)を計算します。
内容 | 報酬(税抜) | 登録免許税・実費等 |
---|---|---|
所有権移転(相続) | 48,000円~(注1、2、3) (固定資産評価額が3,000万円を超える場合には、1,000万円増加毎に5,000円加算) |
固定資産評価額×0.4% |
登記原因証明情報作成 | 5,000円~ | |
本人確認情報作成 | 20,000円~ | |
遺産分割協議書作成 | 20,000円~ | |
相続関係図作成 | 10,000円~ | |
戸籍等の取得 | 1通2,000円 | 1通750円、450円、300円等 |
登記事項証明書取得(1通) | 1,000円 | 500円 |
登記情報取得(1通) | 500円 | 337円 |
旅費・通信費 | 1,020円~ | |
日当・出張費 | 1時間当たり5,000円 |
(注1)不動産の個数が1個を超える場合には、その超える個数につき1000円を加算する。
マンションの敷地権は、1筆につき1個とします。
(注2)登記権利者・申請人等が2人以上の場合には、2人目から1人につき1000円を加算する。
(注3)道路の持分移転、マンション敷地の持分移転がある場合は、2件目は24,000円とする。
(2)相続登記サービスプラン
一定の要件に該当する場合は、定額報酬の相続登記サービスプランを利用することができます。本プランは戸籍の取得から遺産分割協議書の作成まで相続登記に必要な手続一式が含まれているため、お勧めのプランとなっています。但し、不動産の固定資産評価額が3,500万円を超える場合には適用することができません。
内容 | 報酬(税抜) | 登録免許税・実費等 |
---|---|---|
相続登記サービスプラン | 総額120,000円(注1、2) | 固定資産評価額×0.4% |
戸籍等の取得 | 1通750円、450円、300円等 | |
登記事項証明書取得(1通) | 500円 | |
登記情報取得(1通) | 337円 | |
旅費・通信費 | 1,020円~ |
(注1)不動産の個数が5個を超える場合には、その超える個数につき1000円を加算する。
マンションの敷地権は、1筆につき1個とします。
(注2)登記権利者・申請人等が2人以上の場合には、2人目から1人につき1000円を加算する。