相談例
事例1.
父が亡くなり、封書の自筆遺言が見つかりました。
相続人が全員揃っていれば、開封して遺言の内容を確認してもよいでしょうか。
回答1
自筆での遺言を発見した場合、自分たちだけで開封するのは好ましくありません。
封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのうえ開封しなければならないことになっているからです。まず、家庭裁判所に対し遺言書の「検認」という手続を申し立てします。検認とは、他の相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名等を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
事例2.
父が多額の借金を残して亡くなりました。
相続人は借金を引き継がなくてはならないのでしょうか?
回答2
相続は、亡くなった方の遺産の全てが対象となりますので、借金等も含めて相続人は引き継ぐことになります。ただし、プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合には、相続をするメリットがありませんので、この場合には相続放棄という手続をとることになります。なお、相続放棄が認められると最初から相続人と扱われなくなりますので、借金だけでなくすべての相続財産を取得することができなくなります。
また、相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申し立てをしなければなりません。では、3ヶ月経過したのちに借金があることが判明した場合、例えば相続開始から半年後に相続人宛に借金の督促状が届いた場合には、もう相続放棄をできないのかというと、そんなことはありません。督促状が届いたときから3ヶ月以内に相続放棄の手続きをすればよいことが、判例により認められています。また、財産調査に時間がかかりそうな場合は3ヶ月の期間を伸ばす手続きもあります。
事例3.
夫は再婚で前妻の間に子供がいましたが詳しいことは教えてくれませんでした。
この度、夫が亡くなり相続手続を進めたいのですが前妻の子供の住所がわからず連絡が取れません。私の代わりに住所を調べたり、連絡をしてくれたりするのでしょうか?
回答3
司法書士は、依頼を受けた相続について、故人の戸籍を遡って取得し相続人の調査をしたり、その相続人の戸籍や住民票を取得することができます。ご質問の前妻の子供は相続人となるので当事務所において住所を調べることができます。また、依頼者の名前で文書を作成して相手方に書類を送付し、相続手続を進めるお手伝いをすることもできます。
事例4.
相続の手続は何から手をつければ良いかわかりません。また、仕事が忙しいので平日に手続のため動くことができません。相続手続について全部お任せすることはできますか?
回答4
当事務所は司法書士と税理士の総合事務所であるため、不動産の名義変更、預貯金の解約等の各種相続手続から相続税の申告まで行うことができます。全ての相続人から委任状をいただければ基本的には当事務所において手続を進めることができますので、安心してお任せください。
事例5.
相続の相談をしたいのですが、平日の昼間は仕事のため事務所に伺うことできません。平日の夜間又は休日に相談をすることはできますか?
回答5
当事務所では平日は夜8時までのご相談に対応しております。また、土日祝日の休日も事前のご予約をいただければ、可能な限りご相談をお受けいたしますので、お気軽にご相談ください。
事例6.
私達夫婦には子供がいません。夫又は妻が亡くなった場合、残された配偶者は遺産の全てを相続できるのでしょうか?
回答6
子供のいない夫婦の相続は複雑になります。亡くなった者に直系尊属(父母、祖父母等)がいる場合、配偶者はその直系尊属とともに共同相続人となります。もし、亡くなった者に直系尊属がなく、兄弟姉妹がいるときは、配偶者はその兄弟姉妹とともに共同相続人となります。
このような場合、残された配偶者に遺産の全てを相続させたいときは、遺言を作成する必要があります。
事例7.
私達は子供のいない夫婦です。万が一のために、お互いに全財産を相続させる内容の遺言を作成しようと思っています。この場合1つの遺言書を連名で作成しても大丈夫でしょうか?
回答7
遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることはできません(民法975条)。遺言は、遺言者の自由意思に基づいて作成されなければならず、共同遺言では、一方の意思による遺言内容の変更や遺言の取消といったものが困難になるおそれがあるからです。よって、夫婦で互いに全財産を相続させる内容の遺言でも、それぞれ独立した遺言を作成する必要があります。
事例8.
実家の母が認知症にかかり、同居している弟夫婦が面倒を見ています。私は、実家から離れた所に嫁いでいるので、母の面倒を見ることはできません。母は父の遺産のほとんどを相続しており、年金のほか賃貸マンションの収入もあります。現状のままですと、母名義の預貯金等を弟夫婦に勝手に使われてしまう懸念があります。この場合、どうすればよいでしょうか?
回答8
成年後見制度の利用が考えられます。成年後見制度は、認知症などにより判断能力が不十分となった方のため、裁判所が選任した後見人等が本人の生活を支援する制度です。ご質問の場合、弟さん又は第三者を後見人候補者として後見開始の申し立てをすると良いと思われます。後見人は年1回程度、裁判所に対し報告書を提出しなければなりませんので、使い込み等の横領を防止することが期待できます。また、親族間で争いがある場合には、司法書士や弁護士といった第三者を後見人とすることも有効です。
事例9.
相続開始から半年が経過したとき、消費者金融から身に覚えのない請求書が届きました。電話で確認をしてみると、故人の債務を相続したので至急支払いをするように、というものでした。また、相続開始から3ヶ月を経過しているので、いまさら相続放棄はできないとも言われました。この場合、支払いをしなければならないのでしょうか?
回答9
ご質問の場合、相続放棄をすれば支払いをする必要はありません。故人の負債が多い場合、相続放棄の手続きをするのが一般的です。しかし、相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内にしなければならないと民法で規定されています。では、ご質問のように3ヶ月経過したのちに借金があることが判明した場合は、相続放棄はできないのかというと、そんなことはありません。相続の開始があったことを知った時とは相続財産の全部又は一部の存在を認識したときから起算するため、このケースでは請求書が届いたときから3ヶ月以内に相続放棄の手続きをすればよいのです。ただし、相続財産を処分している場合は、相続放棄をできないこともあるのでご注意ください。
事例10.
親が亡くなり不動産の名義を変更しようと思います。不動産の名義を変更すると、相続税が課税されるのでしょうか?
回答10
まず、不動産の名義変更と相続税の課税とは直接の関係はありません。相続税は、故人の財産の総額が一定の金額を超える場合に初めて納税義務が生じます。申告期限は、相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。したがいまして、不動産の名義変更をしていなくても納税義務は生じますし、名義変更をしたからといって課税されるものでもありません。なお、不動産名義変更の際には、登録免許税という別の税金が課税されますのでご注意ください。